日々進化を続けるIT技術に伴い、ITサービスの質もより高いものが求められるようになっています。そのため、ITサービス提供者は常に新たな知識を吸収し、顧客へ最新のITサービスを提供しなくてはなりません。新たな時代に即したITサービスマネジメントを実現するうえで、注目したいのがITILです。ITILは、ITサービスマネジメントの業界標準として世界中で利用されています。今回は、その最新バージョンであるITIL®4の資格取得に関して、認定資格の種類や以前のITIL® v3試験との違い、受験方法についてお伝えします。
なお、ITIL®4の概要に関して詳しくは「最新のITサービスに対応したITIL®4とは?ITIL® v3からの変更点や内容について紹介」をご覧ください。
ITIL®4、資格体系は?
ITIL®4の認定資格の資格体系は下図のようになっています。まず基礎となるITIL®4ファンデーションがあり、その上位資格として、MP(Managing Professional・ITIL®4 マネージングプロフェッショナル) / SL(Strategic Leader・ITIL®4 ストラテジックリーダー) という異なる要素のモジュールがあります。そのさらに上位にはITIL®マスターがあり、これら3つの資格体系で構成されています。
それぞれの概要は以下のとおりです。
- ITIL® 4 Foundation (ITIL®4 ファンデーション)
ITIL® 4の基礎となる認定資格です。コンセプトや用語などの基本的な知識を幅広く問う試験で、これ以降の資格(上位資格)を取得するための重要な基礎知識となります。上位資格を取得するには、この認定資格を取得していることが前提となります。
- Managing Professional モジュール
Managing Professional モジュールは、次の4つの資格で構成されています。
- ITIL® 4 Specialist : Create, Deliver & Support(ITIL® 4 スペシャリスト:作成、提供およびサポート(CDS))
- ITIL® 4 Specialist : Drive Stakeholder Value(ITIL® 4 スペシャリスト:利害関係者の価値を主導(DSV))
- ITIL® 4 Specialist : High Velocity IT(ITIL® 4 スペシャリスト:ハイベロシティIT(HVIT))
- ITIL® 4 Strategist:Direct, Plan & Improve(ITIL® 4ストラテジスト:方向付け、計画および改善(DPI))
Managing Professional モジュールは、主にIT技術者がビジネス側と協力しつつ、顧客体験を重視したサービスマネジメントの実践や、DXの推進を実現するのに役立ちます。
なお、ITIL®v3Expertの資格を取得しているかITIL®v3の資格体系で17クレジット以上を保有している場合は、ITIL®️4 Managing Professional移行研修を受講して認定試験に合格することで、ITIL®️4 マネージング・プロフェッショナル(MP)の資格を取得できます。
ITIL®️4 スペシャリスト:作成、提供およびサポート(CDS)について詳しくは、「バリューストリームを設計するために-ITIL®4 CDSコースのすすめ-」をご覧ください。
- Strategic Leader モジュール
Strategic Leader モジュールは、次のふたつの資格で構成されています。
- ITIL® 4 Strategist:Direct, Plan & Improve (ITIL® 4ストラテジスト:方向付け、計画および改善(DPI))※MPモジュールに含まれるものと同じ内容です。
- ITIL® 4 Leader:Digital & IT Strategy(ITIL® リーダー:デジタル&IT戦略(DITS))
Strategic Leaderモジュールは、IT技術者だけでなく、ビジネスを所管する役職者も対象にしています。ITがビジネス戦略におよぼす影響を理解しているか、ITがビジネス戦略をどのように導いていくかを明確に説明できるかなどの能力を測る資格です。経営者やリーダーとしての目線でIT戦略の立案やDXを促進するのに役立ちます。
- ITIL® 4 Master (ITIL® 4 マスター)
ITIL® 4 マスターについて、2022年2月現在、まだ具体的な内容は明らかにはされていません。
ITIL® 4の試験内容・受験方法は?
ITIL® 4の基礎となるITIL®️4ファンデーションの試験内容について説明します。ITIL® 4は、これまでのサービスライフサイクルをベースにしたサービスマネジメントから、サービスの価値を重視した、「サービスバリューシステム」というアプローチに大きく変更されています。ITIL® 4ファンデーションもこれをもとにしたITサービスマネジメントの基礎を網羅した内容です。
具体的には、ITIL® 4のコア書籍をもとに、「サービスマネジメントの主要概念」や「サービスマネジメント4つの側面」「ITILサービスバリューシステム」「ITIL管理プラクティス」から問題が出題されます。
特に重視されるのは、ITIL管理プラクティスのうち、次の7つのプラクティスです。
- 継続的改善
- 変更実現
- インシデント管理
- 問題管理
- サービスデスク
- サービスレベル管理
- サービス要求管理
これらをしっかりと理解しておくことが資格取得の近道となるでしょう。
ITIL® 4ファンデーションはテストセンター(CBT試験)またはオンラインで、各上位コースについては、オンラインでの受験が可能です。試験要綱は次のとおりです。
- 教科書・ノート参照不可、多頂選択式試験
- 出題数:40問
- 制限時間:1時間
- 合格基準:40点満点で26点以上(65%)
ITIL®v3認定資格からITIL® 4認定資格への移行は?
前項でも触れたように、ITIL® v3からITIL® 4へ項目などの見直しが行われ、試験の内容も異なっています。そのため、ITIL® v3ファンデーション資格からITIL® 4ファンデーション資格への差分移行はなく、あらためて試験を受け直さなくてはなりません。
ITIL® v3からITIL® 4への差分移行は、ITIL®Expert認定を取得しているか、ITIL®v3の資格体系において17クレジット以上を取得している場合に可能です。MP(Managing Professional・ITIL® 4 マネージング・プロフェッショナル)の移行試験を行ったうえで資格を取得することができます。
なお、ITIL® 4ストラテジックリーダー、ITIL® 4 マスターへの移行制度はありません。
ITIL® 4試験に合格するには?
ITIL® 4ファンデーションは、ITIL® v3ファンデーションと同様に、ITILの基礎知識を求める試験のため、難易度はそれほど高くはありません。ITIL® 4のコア書籍をしっかりと読み込んでいれば、20~40時間の独学でも合格は可能とされています。
ただしITIL® 4ファンデーションは、ITILの基礎知識であり、より実践的な知識を問われる上位資格を取得するうえで土台となる部分です。そのため、単に丸暗記をするのではなく、しっかりと体系的に学んでおく必要があります。そこで、おすすめしたいのが研修です。
株式会社DXコンサルティングでは、ITIL® 4ファンデーションの資格を取得するための「ITIL® 4 ファンデーション研修/試験」を提供しています。2日間の日程でITIL® 4ファンデーション資格取得に必要な知識をしっかりと学べます。研修受講後に試験を行い、合格すれば資格取得が可能です。
ITIL® 4の全体像をいち早く理解したい方はもちろん、ITIL®について興味のある方、ITIL® v3(2011年版)からの変更点を理解したい方におすすめです。また、ITIL®にかかわる営業やコンサルティングに従事している方や、IT運用・開発・情報システム担当者の方に最適な研修プログラムになっています。
「ITIL® 4 ファンデーション研修/試験」について詳しくは、ITIL®4ファンデーション研修/試験とは、をご覧ください。
また、ITIL® 4 マネージング・プロフェッショナル(MP)への移行研修(5日間)も行っています。すでに「ITIL Expert認定」もしくは「17クレジット以上」を保有していて、さらに高いレベルでの資格取得を目指す際は、ITIL®4Managing Professional移行研修/試験とは、をご覧ください。ITIL®4ファンデーションと上位4コースについてITIL®v3からITIL®4の変更点を重点的に学ぶことができ、規定の研修受講後に受験が可能です。
ITIL® 4試験合格を目指すなら研修の受講がおすすめ
大きく変わり続けるITサービスマネジメントのなかで、顧客に最適なサービスの提供を実現するには、確固たる知識や運用方法を知っておくことが欠かせません。ITIL® 4は、アジャイルやDevOps、リーンIT、ひいてはDXも念頭に置いた、これからのITサービスを管理するフレームワークとしての重要な知識を得るうえで最良の方法です。
ITIL® 4ファンデーションはITIL® 4全体の基礎となる知識を得るための資格であり、ITサービスマネジメントに携わる方であれば、必ず取得しておきたい資格だといえるでしょう。今後、さらなるステップアップをしていくためにも、まずはITIL® 4ファンデーションの資格取得をおすすめします。また、より確実に資格取得を目指す際には、ぜひ、「ITIL® 4 ファンデーション研修/試験」の活用を検討してみてはいかがでしょう。
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