運用現状分析
運用現状分析とは、組織の運用業務全体を分析・調査することです。
組織の活動には、なぜその活動をするのかという「前提条件」があります。活動の前提条件を明確にするには、まず現状を棚卸しして「課題」や「改善点」を明らかにしなければなりません。
DXコンサルティングの運用現状分析では、漏れや重複のない分析方法で正確な結果を得られるため迅速な意思決定が可能で、その分析結果を組織の共通認識化できるという特徴があります。
運用現状分析で課題解決
運用現状分析サービスから導かれる改善策では、次のような課題を解決します。
DXコンサルティングの運用現状分析手順
DXコンサルティングでは、以下の5つの手順で運用現状分析を行います。
手順1:現状調査
契約関連文書・組織体制図・業務関連設計書類・作業一覧などの文書調査を実施します。また、運用業務全体の実態のヒアリングや実際の作業のモニタリングを通して、作業の実施状況を調査します。環境については、施設や利用端末、運用ツールや手順書の記載レベルを含めた調査を行います。
手順2:業務の棚卸し
業務の5W1H(Who、When、Where、What、Why、How)を明確にして、それぞれの作業量や頻度を業務項目ごとに可視化します。
手順3:業務品質の分析
現在の業務パフォーマンスを分析します。これは、顧客期待に偏った品質ではなく、ベストプラクティスに基づいてコンサルタントが分析を提示するものです。貴社主体の運用管理業務と、委託先主体の運用オペレーション業務の双方から品質を分析します。
具体的な手順は以下の通りです。
手順4:業務生産性の分析
プロセス改善の8原則にて、現在の業務プロセスが改善可能かを分析します。
<参考:プロセス改善の8原則>
-
廃止
例)作業の必要性がなければ、作業自体を廃止する -
削減
例)作業頻度を下げる、もしくは作業の一部をやめる -
容易化
例)作業手順をシンプルな手順、または容易な手順に変える -
標準化
例)手順を統一する、作業をマニュアル化する -
計画化
例)効率的かつ適正に作業を行えるよう、作業タイミングを見直す -
分業分担
例)作業のシェアや分担を見直す -
同期化
例)手待ちなどが発生しないよう、複数の作業タイミングを合わせる -
機械化
例)システム的に自動化する
手順5:業務成熟度分析
業務成熟度分析では、目指すべき状態と現状のギャップを分析します。分析結果は、成熟度をレベル0~レベル5としてそれぞれの定義で評価します。
- 【レベル0】不在:識別可能なプロセスが完全に欠落。対応すべき問題の存在を認識していない。
- 【レベル1】初期/その場対応:対応が必要な問題を認識しているが、標準化されたプロセスが存在しないため、個人的あるいは場当たり的に対応が行われている。
- 【レベル2】再現性はあるが直感的:標準的な手続きに関する正式な研修や周知は行われていない。実行責任が個人に委ねられており、個人の知識への依存度が高く、誤りが発生しやすい。
- 【レベル3】定められたプロセスがある:手続きが標準化され文書化されており、研修や周知も行われている。ただし、プロセスに従うか否かは個人の判断に委ねられており、手続きが最適化されていない。
- 【レベル4】管理され、測定が可能:手続きの遵守状態のモニタリングが可能で、プロセスが効果的に機能していないと判断された場合は対処可能である。ただし、自動化やツールの活用は限定的・断片的にしか行われていない
- 【レベル5】最適化:プロセスがベストプラクティスのレベルにまで最適化されていて、ITの統合やワークフローが自動化されている。また、品質と有効性を改善するツールが提供されており、企業の迅速な環境適応に貢献できている。
【成果物のイメージ】
DXコンサルティングが他社と差別化できる特徴
目標達成に向けた課題の分析と改善事項を導出
単純なベストプラクティスとのギャップ分析ではなく、事業目標/IT目標を確認した上で、目標達成に向けての課題を分析し、改善事項を明確に導出します。
継続的に改善をサポート
分析結果については、課題の列挙だけではありません。改善事項の導出はもちろん、優先度が高い改善事項に関する改善方法の立案までを行います。また、現状分析後も継続的改善をサポートします。
ITSMの構成要素にて網羅性を確保
プロセスの分析だけではなく、ITSMの構成要素である3つのP(人・プロセス・技術/製品)の視点で分析し、網羅性を確保します。また、ITILⓇが推奨する継続的改善(CSI)モデルのアプローチを採用し、整理された分析を行います。
豊富なコンサルティング経験を持つ担当者
リード・コンサルタントの業務担当者は、以下のような業界・業種でコンサルティングや継続的改善を経験しています。
- 金融
- 通信
- 製造
- SI
- 官公庁
- IT組織や基幹システム
また、業務改善のフレームワークや手法などについても見識の深いメンバがコンサルティングを担当します。
保守運用の専門家集団としてのノウハウを提供
現状分析において、システム保守運用管理やデータセンタ運用、サービスデスク業務などの豊富な経験から得たノウハウを存分に活かします。
さまざまなフレームワークを活かした現状分析
現状分析に用いるフレームワークは、ITILⓇの視点だけではありません。ITライフサイクル(企画/開発/保守運用)の観点を含め、以下のようなフレームワークを活かした分析を行います。
- COBIT
- SLCP
- PM
などです。
運用現状分析の成果物
運用現状分析では、以下のような成果物を納品いたします。
- 調査シート:運用業務全体の実態調査記録
- 作業実績報告書:現状分析業務の実施の完了報告文書
-
現状分析報告書:現状分析結果のまとめ文書
- 分析結果のまとめ:曜日ごと、時間帯ごとの作業発生グラフや、月当たりの作業依頼件数および作業に要した時間などをグラフにて可視化
- 改善事項のまとめ:「課題」、課題に対する「説明」、課題に対する具体的な「改善案」など
- 実現方法案のまとめ:実現方法の実用的なフローチャートなど
【分析結果のまとめ】
【改善事項のまとめ】
【実現方法案のまとめ】
■実現方法
監視システムにおいてエラーを検知した場合に、アラート通報する機能を実装する(メールやパトライトなど)。
■改善による効果
- システム監視にて検知された異常をリアルタイムで知ることが可能となる
- 現在行っている、監視ツールの定時チェックにかかる工数を削減できる
- 顧客からの問い合わせ(電話応対など)や作業依頼対応に集中できる